第78回 11月10日

「いいもの」検証システム必要

 今週は、読者の皆様へのお願いもこめて、シビアなことを書こうと思う。

 9月から始めた『おひるねうさぎミーティング』。がんと一緒に幸せに生きていく知恵を、がんの仲間同士、同等の立場で出し合おうと始め、10月31日に3回目を迎えた。遅れて到着した私は、聞こえてきた元気のいい声に「みんながんでも大丈夫、元気、元気」と頬ほおをゆるませたが、その後、凍りついた。

 「私、〇〇療法をがんばってやったんですよ。そこの先生が『絵門さんもずっとやっている』って言うから。でも、あまりにも痛くてつらいのでやめてしまいました」とA子さん。あわてて中に加わり、「その療法、ずいぶん前に一度だけ受けたことあるだけ。ずっとやっているなんて大ウソよ」と言った私。A子さんは、乳がんを全身に転移させた。私と同様、肺に水の流れる音がするまで胸水をためたが、様々なことを採り入れて元気になったので、今回初めて参加したという。A子さんと私がその療法を受けた医院は全く別。「役に立つ話」はどこにでも飛んでいく。まるでたんぽぽの種のようだと思った。


 私は、民間自然療法を頼って全身転移となり、聖路加国際病院の心ある西洋医学の治療によって助けられ、今、元気に活動できている。的確な西洋医学の大切さをしみじみ知った。しかし、だからといって、私が試した分野のものが全部怪しいというのではなく、また、西洋医学の治療のみでは結果を出しにくくなった状態の患者の場合は特に、分野を越えて様々なよいものを採り入れることが必要と考える。だからこそ今は、患者本位の統合医療が望まれると訴えている。


 『がんと一緒にゆっくりと』の出版以降、がんにいいというものが私の元にどれほど送られてきたかしれない。あまりもの量に送り返す余裕もなく、放ってあるものがほとんどだが、そういうものを眺めるにつけ、がん患者をターゲットにする商品や療法などを患者が束になって検証するシステムが必要だと考えるようになった。今は、とりあえず自分自身の裁量で試している段階で、私が一度でも買って試したものは数え切れないほどある。それがこういう形で利用されてしまうのだ。


 サプリメントの会社が、その会社で行うセミナーや、クリニックなどへ自社製品を売り込む場で、「絵門さんには無料提供しています。うちの商品をずっと飲んでいるから元気なんですよ」と言っていたという話が後から私の耳に入ることもある。無料提供もウソ、それを続けていることもウソでも、訂正して回ることもできない。

 だから、私自身が直接、しゃべったこと、書いたこと以外は、一切信用しないでほしいとお願いしたいのだ。そして、今の段階で私が、「これのおかげで元気だ」と責任持って公言できる具体的なものは、何一つないと思ってほしい。私の名前がどこかで上がったら、ホームページを通し、私にメールで問いただしてほしいとも思う。


 もし私が役立たないとなれば、「絵門さんは、うちの商品(療法)を徹底してやらなかったから結果が出なかったんですよ」と言うであろう、そういう人たちのセリフまでもが、リアルに想像できる。おかげで、「検証システムを作らずに死んでたまるか!」と、負けじ魂にエンジンがかかり、元気はどこまでも続きそう。「ウソつきさんたち、ありがとう!」と言える日を目指したい。


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