2005年10月16日

 みなさま、こんにちは!
 『ゆっくり日記』がお休みの週は、なんとか必ず、たびたびトークを更新していたのに、ごめんなさい。先々週は、新潮社の最終原稿チェックと重なって、すっかりポカをしてしまいました。
「具合が悪くなったのでは」と、また心配の声をいただきましたが、そういうことではありませんのでご安心を。朝日新聞の紙面の都合だったのです。
今まで、私の体調のために『ゆっくり日記』がお休みになったことは一度もありません・・・というか、退院して仕事を始めてこの3年半、体調のためにキャンセルした仕事は講演、執筆その他一つもないし、寝込んだ日もないし、風邪さえもひいた日がありません。ちょっと疲れて、ふらふらとしていた日はたまにあったかもしれませんが、がんが全身転移していてもこんなにも元気でいいられるということです。
がんは、安静が病気を治すのにあまり助けにならない、不思議な病気。がんでも健康な人以上に平気で働き続けてられる人がたくさんいる、ということこれは紛れもない事実です。 
 先週の『ゆっくり日記』には、初めて『おひるねうさぎ』のミーティングについて書いてみました。ミーティングにも、元気なみなさんがたくさん来てくださって、みんな時を忘れてパワフルに話をし合えました。
ほんとうに「いったいみんなどこが病気なの?」という感じです。

 さて、そうこうしているうちに、新潮社の続編のタイトルが『がんでも私は不思議に元気』に決まりました。
私としては、『がんだから、なぜか私は不思議に元気』としたいくらい、がんについて前向き路線を貫きたい気持ちです。
でもそれでは、本を手に取る人が何がなんだかわからないので、『がんでも私は』ということで理解していただくのがいいと、『不思議に元気』というかわいいイメージのタイトルになって喜んでいます。
とにかく、『がん』イコール『悲劇、つらいできごと、死』・・・というイメージを少しでもはずしていける、そういう一冊になり、読んでいただけて、役にも立ち、現実もわかり、元気になってもらえたらいいなと思っています。
今、ようやく初稿(ゲラ)が出てきて、その直しに入っていて、もうひと頑張りです。12月21日には全国の書店に並ぶ予定ですので、ぜひともお読みいただけるように、お近くの書店でお買い求めいただけるよう、お願いいたします!前にも書きましたが、著者は、講演会場などで買っていただけるより、書店でお買いいただけることが一番嬉しいのです。
その本に、講演会場などにお越しいただけた際、喜んでサインさせていただきますので、どんどんお持ちくださるよう、お待ちしています。

 ところで、今日は、ドキドキの一日でした。
 1年半前の3月、自分の誕生日に自分へのプレゼントとして買ったフルート。あの日から、週に1回はレッスンに通い続け、きょうは、発表会に初出演したのです。自宅近所の楽器店のフルート教室でレッスンを受けている私ですが、その全体の発表会があって、先生と二重奏で『小さい秋みつけた』を演奏したのです。
舞台に立つことでは、めったにドキドキしない私ですが、今日はほんとうに自分の心臓の音が聴こえるほどドキドキしました。舞台に上がったとたん、すべての指使いを忘れてしまっているのではないかと、そんな不安も押し寄せました。
 選曲は、季節に合っていて最高。あとは、演奏さえよければ問題なし。
ただ、レッスンの時以外は、ろくすっぽ練習する時間を取ることもできず、発表会の舞台に立つ生徒としてあるまじき日々のまま今日の日を迎えてしまった私。甘くみてうまくいくものではないと、相当怯えていました。
 演奏は・・・予想していたこととはいえ、やはり、 こけました。 いえ、スタートはうまくいったのです。見事に、一番出しづらい高いミの音から綺麗に音がなり、いい雰囲気で始めることができました。
ところが、繰り返しに入ったところあたりから、顔に汗が出てきて・・・こうなるとあごに当てているフルートがすべるのです。すべると音の出る位置にうまく吹く息が当たらなくなって、フルートの音が鳴らなくなります。スカスカスカと、出るべき音がからぶりになってしまったところが何箇所か出て・・・
そうなると、あせるためにさらに冷や汗をかいてしまいます。そうなると、さらにフガフガフガとなってしまって・・・なんとかフルートがすべるのを止めようと腕に力を入れてあごにフルートを押し付けるのですが、今度はそのために指使いが怪しくなってきて・・・。
はっきりいって、曲の真ん中のあたりは、さんざんでした。
でも、最後だけはなんとか決めようと、気合を入れなおし、それなりにいい音に戻せ、小さい秋の雰囲気をかもし出して?てフィニッシュ!
総合的に考えると、「始め良ければすべて良し!」「終わり良ければすべて良し!」ということで、フルート発表会、デビューとしては最高のできだった、ということであります。
 
 来週の18日(火曜日)TBSテレビの午前10時50分から放送の『きょう発プラス!』という番組が、今私のことを取材していますが、この発表会の模様も撮影していましたので、ほんのちょっとはその様子も出るかもしれません。
ディレクターには、「始めと終わりのうまく吹けているところだけ使ってね」と言っておきましたが、がんになって究極の症状から復活して、首と肺のリハビリもかねて始めたフルート・・・
始めの半年は音が出なかったのに、なんとか発表会の舞台で吹けて、元気でいられる今の自分が嬉しい、という部分に使うわけです。
私がディレクターでも、いかにも初心者、緊張、ドキドキ、恥ずかしの、下手だけれど初挑戦・・・という感じが伝わる、途中ですべってうまく音が出なくなって冷や汗流しているところこそ面白いと、そこを編集して使うでしょう。だから、頼んだだけ無駄だったかなあ、と後で思いました。
 もし、私がフルートをうまく吹いている部分が放送されたとしたら、担当ディレクターは、それはそれは素晴らしく心の優しい人だ、ということになります。さあ番組は、どうなっているでしょう・・・それは私にもわかりません。みなさん、どんな番組になるのか、ぜひ見てみてくださいね。お楽しみに。2時間番組ですが、私が出てくるのは、12時以降、12時半くらいだろうということです。
 
 先週は、神戸で全国自治体病院のフォーラムに出席してきました。
癒しのある医療環境がテーマでしたが、私が医療に関わることで発言する活動を始めた『がんと一緒にゆっくりと』が出版になった2年半前に比べてさらに医療が私たち患者にとって心地よいものになっていく気配を先生方のご発言などを通しても感じることができ、嬉しく充実したひとときでした。
 すべてが日進月歩なんですね。 プーと音を出すこともできなかった私のフルートも、少なくとも『小さい秋みつけた』という曲だな、とわかるように音が鳴るようになりました。前に進むことを信じてそれなりの努力を続けていれば、時間はかかっても必ず結果は出る。時の経過が将来生み出す大きな結果は、始まる前はほんとうに見えにくいものなので、始まりはとてもかなえられない目標を見上げ萎えやすいものですが、そこでひるまないことだなとしみじみ思います。
 こんなになってしまった私の体が、がんから解放される日を迎えることなど、ほんとうに可能性の光がどこにもないように思えてしまうこともありますが、小さな光を放つ一匹の蛍を探すような気持ちで、私はその可能性を信じていくつもりです。
 
 発表会の打ち上げから帰ってきた私に夫は言いました。
「想像していたよりずっとうまかったよ」と。あれより出来が悪いことを想像していた夫はいったいどんな想像をしていたのだろうとしみじみ考えてしまいましたが・・・、そうです!想像や思い込みは、本当の結果より見損なわれている場合の方が多いのです。だから、周りの予想や想像は無視して、自分だけは自分の可能性を信じて前に進みましょう!

 『がんと一緒にゆっくりと』の続編は『がんでも私は不思議に元気』。そして、その続き、続々編は、『がんとはにっこりさようなら!』とできるよう、再来年あたりの出版も目指そうかと思います。
 
 というわけで、長〜い『たびたびトーク』になりました。今週の『ゆっくり日記』の原稿がまだ書けていません。
これからがんばって書くつもりです。今晩は、ロッテファンは大変ですね!


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