みなさま、あけましておめでとうございます!
 いいお天気ですね。いい新年迎えられましたか?
私は、なんといっても駆け込み大掃除ができて、イメージした通りに隅々まで
片付いて新年が迎えられ、ほんとうに幸せを感じています。
 昨年12月29日までは、聖路加チャペルの『うさぎのユック』チャリティー浪漫朗読コンサートの準備に追われていました。その上、来年早々1月22日の『ふぅちゃん』の浪漫朗読コンサートの準備もあり、とにかく朝から晩まで何かしら仕事をしているのに、やれどもやれどもやることがあふれてきて…という状態でした。見るに見かねた夫が「これでは、汚れの中に埋まって新年を迎えなくてはならないかもしれない…!」という危険を感じてか、土日の休みのたびに窓ふき、ワックスかけなど、徐々に徐々にほんとうによく大掃除への準備を進めてくれていまして、その夫のいきごみに応えるべく、29日の疲れ激しく朝寝坊をして起きてきた30日の午後から大晦日の夕方5時まで、私はがんばりました。冬物と夏物の入れ換えもできないまま過ぎてしまった去年の秋。その入れ混じった洋服の整理から始めて、片づけ、掃除のみに集中し続けた30時間(寝てる時間と休んでいる時間を除けば20時間)あまり。
おかげで、くたくただけれど、さわやかに新年を迎えることができたわけです。
 考えてみたら、去年はこんなに動き回り掃除しまくり…ということ、体力も意力もなくてできませんでした。こんなにきれいにして新年を迎えるところにたどりつけたのは、がんを知った日から5年目。ここまでたどりつけるのに、5年かかったのです。
 具合が悪くて絶望的な気持ちだった頃、私は「神様の考える時間は人が考える時間よりずっと長い」という言葉…誰に聞いた言葉だったか、聖書の中にある言葉だったか…をずいぶん支えにしました。若いうちは、1年でも平均より遅れるとあせります。たとえば大学にみんなが入る年に入れない、みんなが子どもを生む年に生めない。そういうことがみんなあせっていく材料になるのです。でも、死ぬか生きるかになって呼吸することもやっとになってみて、何もかも無になる一歩手前に立ってみて、そういうことがどれほど取るに足りないことだったのかわかったのです。人間がものさしにしている時間、というのは、神様の視点からは大きくずれていたということを気づかされたのです。
 今年は、夫の助けを借りながらも(夫も、私の病気と格闘した時期があって、それを通り過ぎやっと掃除しながらい師走を過ごす時間も気力もそそげるゆとりができたということ)大掃除を納得いくようにできて新年を迎えることができました。それまで5年もかかった、逆に5年も辛抱すればそういう時もまためぐってくる、ということを改めて重大に受け止めています。がんであることを知ったばかりの私には、心身ともに元気に掃除の行き届いた部屋で新年を迎えられる日が5年も先であり、5年後にそういう日がまためぐってくるということを、想像すらすることができなかったはずです。でも今、「ああ、こんなもの、こういう風に時間はかかるものなんだ…」と、今思うわけです。
 『がんと一緒にゆっくりと』が出版になってから、ずっと『ゆっくり』を目標にしてきました。でもちっとも『ゆっくり』にならず、毎日バタバタしていて「性分は治らないものだ」と自分でもあきれています。ただ、長いスパーンで見た場合、病気になってからの私は、掃除ひとつとっても、1年でできなかったことを5年で結果を出す、という感じで『ゆっくり』を実行できているのだと思うのです。自分の体力と自分の精神力に合わせた速度で、結果を長いスパーンで出していくことを『ゆっくり』だと解釈すれば「ゆっくりに、ちゃんとなっているじゃない」と、大掃除ができた部屋のコタツに暖まりながら、庭になったみかんを食べながら、改めて思うわけです。

 12月29日の聖路加チャペルには、多くの皆様が聴きに来てくださいました。ほんとうにありがとうございました。日野原重明理事長先生にもお越しいただけ、ありがたいお言葉をいただきました。オーボエの加古ふみこさん、ユフォニアムの石橋美奈子さん、ピアノの渡辺ゆみさんの素晴らしい演奏とともに最高の一日にすることができたと思います。スタッフががんばってくれて、絵本の金の星社のみなさんが手伝ってくださって、私の準備不足をみんなが補ってくれた一日でした。『うさぎのユック』の絵本の先行本もこの日に間に合って出来上がり、山中翔之郎さんの40枚あまりのパステル画も額装されて、チャペル前の大正浪漫風のお部屋で原画展も行えました。雰囲気満点でした。
 このチャリティー朗読コンサートは、そもそも年末年始も入院され治療に向かわれる患者様の楽しみにしていただきたいという目的で去年初めて行ったもので今年が二回目になります。患者様は、お具合が良い方たちは、年末年始の一時帰宅でおうちに帰られてしまいます。だからこの時期病院で入院患者様のために行うといっても、3年前の私のように、一時的に家にも帰れないほど厳しい状態を抱えながらもなんとか渡り廊下で隔てたチャペルには、ベッドや車椅子のままでも出むくことができるという、ごく限られた方たちしかお越しいただけないという難しい条件があります。今年も去年のように聖路加看護大学の学生さんたちが患者様のお世話を手伝ってくださいましたが、去年よりお越しくださった患者さまが少なく、私にとって大きな課題となりました。患者様はいろいろな理由で遠慮もされます。そういう中、今のようなやり方がふさわしいのか、この時期が一番よいのか、これから検討し今後もっと目的を果たす形でできるように考え、継続していきたいと思いました。今年は絵本の先行本が届いたこともあって患者様には騒がしい感じがしてしまったかもしれないと、反省もしております。ただ、前の方の席はすべて患者様のために空けておきまして、私の目の前でで聴いていてくださった車椅子の女性の患者様と小学校にまだ上がる前くらいの年齢の男の子の患者様の、最初から最後まで熱心に聴いてくださった姿には、どんなに励まされたかしれません。お二人とそれぞれ握手させていただき、お互いに「ありがとう」が言い合えて、ほんとうに幸せでした。これからの治療を通し一日も早く回復されることを祈り、お越しいただけ聴いていただけたことに、ただただ感謝です。

 『うさぎのユック』は1月中旬には書店に並びます。聖路加のチャペルでの朗読コンサートを、あえて一般の方たちと一緒の場に患者様にお越しいただいてするようにしようとしているのは、今病気の人と今健康な人のバリアをはずしたい思いからです。絵本の『うさぎのユック』は、大人の人たちにファンがいっぱいいる山中翔之郎さんのパステル画を原画に、大人が楽しめる画集のような絵本にしたいという思いで金の星社の編集の東沢亜紀子さんと話し合うことから始めて出来上がった絵本です。中身の文章も子どものためにひらがなにすることを一切せず普通に使う漢字は漢字のままで総ルビにし、話の中身も子どものために短くするということをほとんどせず、とにかく大人が楽しめる絵本、だから子どものために読んであげたり、絵本を読む子どもの声に大人も楽しく耳を傾ける、そういう大人と子どもの交流のきずなとなる絵本という新しい領域のものにしたいという思いで作りあげてきました。大人と子どもの間にもあるバリアというものをはずしたかったのです。
『がんと一緒にゆっくりと』を出版後、全国各地、呼ばれるがままに伺って行ってきた講演、そこでも私の話す内容は、バリアをはずすこと、いのちを大切にすること、というテーマに集約されていきました。そのテーマを夢のあるアートとして提案できるのが、絵本であり朗読コンサートです。
 日野原重明先生は「医療はアートでなくてはならない」とおっしゃっています。アートとは、それぞれの才能を持った人たちが、その最も本領を発揮できるところで活躍し、コラボレート、つまり競演することなのではないかと私は勝手に解釈していますが、一人の生み出すものに何人もの才能が合わされることで一足す一が二でなく三にも五にも十にもなる…それが、アートで、アートはコラボレーションによって出来上がっていくものだと思うのです。『うさぎのユック』というものがたりは、まゆちゃんという少女の「うさぎの絵を描くことが好き」という言葉から始まり、「うさぎのものがたりを創る」という約束ができ、『クラリネッテン・カメラーデン』の定期演奏会に何か朗読を、という声をいただけたために私の頭の中にできていたものがたりをきちんと形にして書かなくてはということに乗り出すことができ、その後金の星社との出会いがあって、画家である山中翔之郎さんとのコラボレーションで絵本という形になりました。朗読コンサートは、私の創ったものがたりに、クラシック、ポピュラーを問わずその感性でものがたりに合った曲を選び、演奏してくれる加古ふみこさん、石橋美奈子さん、そして今回の聖路加チャペルから新たにメンバーに加わってくれた渡辺ゆみさんという演奏家たちとのコラボレーションで出来上がります。コラボレーションは、無限の可能性を秘めたアートなのだと、そしてこういう提案を通し、お客様との出会いもあり、育てていただける、というさらなるコラボレーションになっていくのだと、私は今年このアートとしての絵本、朗読コンサートの積み重ねに意欲を燃やしています。朝日新聞(東京版)の『ゆっくり日記』も、今年の夏以降一冊の本にして出版になる予定です。そしてなんといっても、新潮社の『がんと一緒にゆっくりと』の続編は新年どんな仕事よりも先行させて書き上げ、出版しなくてはと、去年どうしても毎週締め切りがくる『ゆっくり日記』に追われ原稿を書く約束が果たせなかった私は、深く反省しつつ、心に期しています。だから、今年はまず1月中旬の『うさぎのユック』(これはもう出来上がってますので大丈夫!)、その後の『がんと一緒にゆっくりと』の続編、その後の『ゆっくり日記』が書店に並ぶことをホームページを読んでくださった皆様には約束します。そして、長〜いスパーンで『ゆっくり』を実行していこうと思います。『ゆっくり』ということは、つまり『やめない』ということであり『実現させる』ということですからね!

 原稿の長さに限度がないホームページへの文章は、推敲する作業をせず、だらだらと長くなっておりますが、とにかく新年のご挨拶にさせていただきたいと思います。今年は『おひるねうさぎ』プロジェクトも、まず日本橋に『おひるねうさぎカウンセリングスクエア』をオープンし(2月〜)本格的に起動させる予定です。大ぼら吹きにならないようにがんばります!フルートの練習も、これから年賀状を書き終えたら(まだ何もしてないのです?!)再開します。
それでは、皆様、今年何卒よろしくお願いいたします。
今年こそ、ホームページは日々更新?!を目指します。新しい情報がどんどん載せていきます。だからパソコン開くたびに、訪ねてみてくださいね。そして、更新できてない時は「あ、『ゆっくり』を実行してるんだな」って許してつつ、また懲りずに訪ねてください。時にはメールも送ってください。そうやってどうか今後ともこのホームページを育ててくださるようお願いします。
朝日新聞の『ゆっくり日記』は1月6日はお休み、13日は音無美紀子さんとの対談となり、20日に再スタートです。それは22日の調布での『ふぅちゃん』の浪漫朗読コンサートの2日前。早めに原稿を書かなくてはと思います。  
それから、1月10日(成人の日)の夕方4時、テレビ東京の『レディスフォー』という番組には生出演します。ぜひ見てくださいね!
それでは、良いお正月、お過ごしください。
       2005年1月3日 絵門ゆう子


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